2017年2月12日日曜日

自炊代行とKindle Unlimited



 前回自炊代行業者にインタビューしたときのことを簡単に書きましたが、その自炊代行業者はKindle Unlimitedについての期待と懸念も示していました。その辺についても書こうと思います。




 その自炊代行業者が事業を始めたころは、Kindleは始まったばかりで電子書籍で読みたい本があっても、電子化がされてなくて結局は紙の本を買わないといけないという状況が多く、読みたい本を新品中古を問わず紙で買って店舗まで持ってくる客が多かったようです。ただ、最近だと出版業界の電子書籍に対するアレルギーもかつてほどでもなくなり、新刊でも安くはないがすぐに電子化されていることが多く、わざわざ自炊するメリットが薄くなってきていると語っていました。

 そして、去年から始まったKindle Unlimitedです。このサービスは月額約1000円で様々なKindleの本が読めてしまうという大きな可能性を秘めたサービスなんですが、これがとうとう日本でも始まってしまいました。これは何を意味しているかというと、電子書籍の値段が高いという常識を覆し、むしろ紙よりも電子書籍の方が断然安いという状況を生み出してしまうかもしれないのです。紙の本だと様々なコストがかかるので、Kindle Unlimitedはデジタルだからできる最大の強みを発揮した形になります。

 現在は、人気の本はまだKindle Unlimitedに対応してなかったりするので、利用者が劇的に増えているというステージには来てませんでが、確実に利用者は増え続けると予想されます。自炊代行業者はこのサービスには、危機感とともに期待感も抱いているようでした。危機感としては、今後Kindle Unlimitedが普及していって紙の本がますます売れなければ自炊という行為そのものが消滅してしまうことです。期待感としては、電子書籍に参加する層がいまよりも増え、家に大量に滞留している本を処分して電子化したいという需要が生まれることです。

 現在、日本において電子書籍が普及しているとは言える状況ではありません。それゆえに自炊という文化も大きく育っていません。Kindle Unlimitedという定額ビジネスは、電子書籍を爆発的に普及させる起爆剤になるのか、自炊代行業者にどういう影響を与えるのか、今後もウォッチしていきたいと思う。


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